研究概要 |
本年度はシミュレーション対象として電磁誘導式の超電導磁気浮上台車および吸引制御式の常電導磁気浮上車軸を取り上げて,具体的な走行シミュレーションプログラムの作成の過程で,並進3自由度、回転3自由度の合計6自由度の3次元運動を行う多剛体系運動のモデル化を行った。また、電磁界系においては超電導コイルの磁束保存性や導体中に誘導される渦電流なども取り入れ、システムのより詳細な記述が可能となった。軌道形状としては直線軌道だけでなく、直線部と曲線部を緩和曲線を介して接続することも可能になり、走行シミュレータとして汎用性が向上した。 6自由度の運動を視覚的に表現することは容易ではないが、その一つの方法はアニメーションである。本年度はその第一歩として、そのような台車の運動を視覚的に表現するプログラムをX-Windows上で作成し、横風を受けたとき、曲線部に突入した場合、超電導コイルにクエンチが発生した場合などの台車運動の描写が容易となった。 また、常電導磁気浮上車軸の高速走行シミュレーションのために、浮上用電磁石部分の構造を拡張し、スタガ配置磁石も取り入れた。それによって、200km/h程度の高速車輌走行における電磁石構造による性能比較が可能となり、特に曲線部での車輌運動に着目してシミュレーションを行った。一方、電磁力による軌道追従における重要な要素である制御面から詳細な検討を行うために、常電導磁気浮上制御のモデル化を汎用ソフトウエアであるMATLABによって行い、磁気浮上車輌走行の解析モデル、鋼板の磁気浮上、高温超電導バルク材を用いたハイブリッドマグネット浮上などの解析モデルなどを作成し、評価を行った。
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