研究概要 |
平成6年度に設計,一部試作したファンデグラフ式直流高電圧人工雷発生装置の設計仕様を屋外に係留するための立地条件,風速の影響などを再検討し,気球直径6m,係留高さ4m,充電電圧1MVに変更した。試験研究は次の手順で実施した。(1)屋外での人工雷放電実験の準備段階として実験室内でポリエチレンチューブへの帯電実験を行った。チューブは直径0.23m,厚さ0.1mmのポリエチレンを使用した。電荷の帯電は線一平板電極を使用し,正コロナ放電により生じた正の電荷を付着させて行った。チューブに帯電する電荷量はフィールドミル式電界計によってチューブの表面電界を測定し計算によって求めた。印加電圧14.7KVで表面電界は約6KV/cmとなり,表面電荷密度ρの値として約3.8μC/mを得た。(2)屋外に人工雷放電実験装置を構築した。直径6mの気球を係留する長方形の架台を直径80mm,厚さ8mm,長さ4mの4本の塩化ビニールのパイプで電気的に絶縁し支持した。プロパンガスをガスバ-ナで燃焼し気球を膨らませ架台に係留することに成功した。架台の下部には電荷の移送に仕様するポリエチレンチューブを巻き上げるための直径1mのローラが2台,上部に1台からなる電荷移送システムを設置した。地上から1mの箇所に実験室で使用した帯電装置を取り付け,正コロナ放電によりチューブの表面に正電荷を帯電させた。チューブをローラで回転することにより電荷を気球表面に移送し気球を高電圧に充電した後,大地へ気中放電させた。今後,直径16mの気球による5MV充電実験を経て,将来,直径80mの気球による50MV充電実験の見通しを得た。
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