研究課題/領域番号 |
06555087
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
佐々木 克孝 北見工業大学, 工学部, 教授 (80091552)
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研究分担者 |
土橋 剛 旭川工業高等専門学校, 電気科, 助教授 (50123956)
阿部 良夫 北見工業大学, 工学部, 助教授 (20261399)
野矢 厚 北見工業大学, 工学部, 教授 (60133807)
白重 道弘 松尾電機株式会社, 技術課, 課長
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キーワード | 薄膜コンデンサ / 窒化タンタル化合物膜 / 陽極酸化 / 誘電損 / 漏れ電流 |
研究概要 |
本研究の目的は、Ta_2N化合物の陽極酸化膜を用いることで、Ta-N間の化学結合を活用して高温状態で生じる酸素拡散を顕著に抑制し、耐熱性を飛躍的に向上させた薄膜コンデンサを開発することにある。そこで、当初の研究計画に基づき検討を行った結果、本年度は以下の知見を得た。 1.Ta_2N化合物膜の作製:RFリアクティブスパッタ法で作製条件を検討したところ、Ar+N_2(1%)の混合ガスを用い、8×10^<-2>Torrのガス圧で無加熱基板上に堆積させた膜は、ほとんど化学量論的なTa_2N膜となることが判った。 2.化成条件と耐熱性の評価:Ta_2N膜を3wt.%ホウ酸アンモニウム水溶液中で定電流-定電圧法によって陽極酸化して作製した薄膜コンデンサは、400℃の熱処理によっても劣化せず、極めて高耐熱な特性が得られた。 3.薄膜化の検討:本研究の材料による薄膜コンデンサは、高耐熱な特徴を有する反面、同一化成電圧で得られる静電容量値をTaの場合と比較すると、ほぼ半減するという弱点がある。そこでTaの場合と同程度以上の容量値が得られるよう酸化膜厚を半減させた場合、その耐熱的な特徴がどの程度まで保持できるかを検討した。その結果、本研究のTa_2N膜を利用した場合は、酸化膜厚を半減させても耐熱性に遜色は見られないことが判った。 以上の様に、本年度の研究はほぼ当初の予定通り順調に遂行することができた。現在は、次年度に向けて、上記のような耐熱的な特徴が得られた理由を明らかにすべく、Ta_2N陽極酸化膜のキャラクタリゼーションとTa_2N化合物膜自体の耐熱酸化性との関連の予備的検討に着手している。
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