研究課題/領域番号 |
06555088
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
荒井 賢一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40006268)
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研究分担者 |
加藤 義徳 (株)アルプス電気, 中央研究所, 第一研究室長
大槻 悦夫 (株)トーキン, 材料開発部, 開発部長
び 暁ふぁん 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (10261570)
石山 和志 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (20203036)
山口 正洋 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (10174632)
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キーワード | 3%シリコン鉄磁性合金薄帯 / 細溝 / 磁区細分化 / 渦電流損失 / 鉄損 / プラズマエッチング / 走査型電子顕微鏡 / 磁壁枚数 |
研究概要 |
本研究の今年度の目的は、最近申請者らの開発した3%シリコン鉄磁性合金薄帯の幅方向に細溝を形成し、これによって磁区を細分化し、超低損失化を図ることにある。研究対象となる薄帯の作成法や基本的特徴については、既に申請者らが平成3、4年の一般研究で検討しており、表面の平滑性に極めて優れ、ヒステリシス損失が極めて小さいことなどが明らかになっている。しかし磁区幅が数mmにも及ぶことから、渦電流によるコア損失が大きかった。本試験研究は、この問題を磁区細分化処理により解決することが最終目標である。 今年度は、まず酸によるウエットエッチングと、新規購入したプラズマイオンエッチング装置の2種類の方法によって細溝を形成した。いずれも鋼板表面にレジストを塗布し、そのパターン幅を種々変化させ、これによって溝幅の異なる試料を得た。プラズマイオンエッチングにより約80μm幅の細溝を形成することに成功し、磁区構造をSEM(走査型電子顕微鏡)で観測した。その結果、磁区は180°磁壁により構成される約0.3mm幅の主磁区と、溝の側壁近傍に存在するスパイク状磁区の2種類が認められるることが明らかになった。 また、溝幅の減少に伴い磁区が細分化しており、溝幅が250μmから100μmに減少することにより、磁壁枚数が1.0枚/mmから1.3枚/mmへと増加している様子がはじめて観察された。これによる損失低減を見積もるために、磁壁枚数や磁壁速度と渦電流損失との関係を調べ、その結果に立脚して磁壁枚数の増加による渦電流損失の低減量を試算したところ約23%の損失低減と見積もられた。この結果は定性的には、細溝側壁間に発生する磁極密度が増加することによる磁区細分化効果が生ずるためと考えられる。したがって来年度は、プラズマエッチング装置を更に活用して極狭幅の溝を形成すれば、いっそうの磁区細分化による損失低減が可能と思われ、本研究は順調に進行している。
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