研究概要 |
本年度は、MOCVD法により高品質の強誘電体Pb(Zr,Ti)O_3(PZT)及び(Pb,La)(Zr,Ti)O_3(PLZT)薄膜の大面積(6-8インチウエファー上)成長を試み、得られた薄膜の評価及び問題点につき検討を加えた。 開発した枚葉式大型MOCVD装置を用いPZT薄膜の6-8インチウエファー上への均一膜成長を試みた。Pb,Zr及びTi原料は全て液体のものを用いた。とりわけPb原料に関しては新たに開発されたトリエチルnペントキシ鉛((C_2H_5)_3PbOCH_2(CH_3)_3)を初めて用いた。Pb原料として固体の鉛ビスジピバロイメタン(Pb(DPM)_2)を用いると膜中のPb含有量は実験回数にしたがい大幅に変化し、Vpb(=(maxPb量-minPb量)/(平均Pb量))は63.3%にもなり再現性は非常に悪くなった。一方、上記液体Pb原料を用いた場合膜中のPb含有量の実験回数依存性はVpbは8%と非常に改善された。また6インチウエファー上でのPZT膜のPb、Ti及びZr組成の面内分布は±1.1%以内と優れた特性が得られている。膜厚分布や誘電率の面内分布は、ノズルの形状に大きく影響を受けるが、シャワーノズルタイプのものを採用することにより、各々±1.2%及び±5.1%と均一性に優れたものが得られた。さらに8インチウエファー上にも膜厚分布±1.2%と高均一のPZT膜が得られた。 PLZT膜に関しても、6インチウエファー上に膜厚分布±1.5%の高均一膜が得られている。また誘電率、残留分極および抗電界の分布は、各々±12.7%、±3.5%及び±8.8%であった。 成長速度に関しては現在110-150nm/hr程度のものしか達成されていない。さらに高堆積速度を得るために、現在原料ガス供給量や成長温度等の成長パラメータの最適化を図っている。
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