研究課題/領域番号 |
06555095
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松波 弘之 京都大学, 工学部, 教授 (50026035)
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研究分担者 |
木本 恒暢 京都大学, 工学部, 助手 (80225078)
冬木 隆 京都大学, 工学部, 助教授 (10165459)
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キーワード | シリコンカーバイド(SiC) / パワーデバイス / イオン注入 / 価電子制御 / pn接合ダイオード |
研究概要 |
本研究では、ワイドギャップ半導体SiCの高品質・高純度結晶を製作し、そのパワーデバイスへの応用を研究した。以下に本研究で得られた主な結果をまとめる。 1.高純度エピタキシャル層の成長と不純物添加の精密制御 (1)申請者らが開発したステップ制御エピタキシ-法により、高品質SiCエピタキシャル層を得た。エピタキシャル成長装置の改良と成長条件の最適化により、残留キャリヤ密度を10^<15>cm^<-3>から10^<14>cm^<-3>に低減した。 (2)成長中にN_2を用いたNドナーの添加、およびTMA、B_2H_6を用いたAl、Bアクセプタの添加を行い、成長層のキャリヤ密度を10^<15>〜10^<20>cm^<-3>の広い範囲で制御する技術を確立した。 n型成長層の評価を行った結果、移動度は室温で720cm^2/Vs、77Kで11000cm^2/VsというSiCでは最高の値を得た。また、成長層中の深い準位密度は10^<13>cm^<-3>以下であり、極めて高品質であることが判明した。 2.イオン打ち込み条件の確立 (1)p型SiC成長層へのN^+注入を詳細に研究し、注入損傷と注入ド-ズ量、アニール条件の関係を明らかにした。室温注入では10^<15>cm^<-2>が上限となる。 (2)1500℃のアニールを行うことによって、シート抵抗770Ω/□、活性化率40%を得た。これは、SiCへのイオン注入では最高の値である。 (3)N^+注入によってn^+p接合を形成し、そのダイオード特性を調べ、順方向のオン抵抗20mΩcm^2、耐圧450Vという優れた特性を得た。 今後はデバイス構造を設計、試作し、SiCパワーデバイスの有用性を示す必要がある。
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