研究概要 |
本研究は、Co基アモルファス超薄帯の表面に熱処理によってナノクリスタル層を析出・分布させ、磁区発生の核として磁区の微細化を図り、渦電流損失の低減させ、MHz帯で動作できる超低損失磁心を開発することを目的としている。本年度は、当初の計画にしたがって、目的に適したアモルファス超薄帯の作製と磁区観察システムの製作調整を次のとおり行った。 (1)アモルファス超薄帯の作製と表面酸化;(Fe‐Co)_x(Si_y‐B_<1‐y>)_<100‐x>,(x=75‐81,y=0.2‐0.8)の零磁歪組成を中心に作製した。試作の結果、B量の多い組成では表面酸化による組成のずれによるCoなどの結晶相の析出が起こりやすいことが分かった。しかし、B量を多くすると溶融合金と冷却ロールとの間の濡れ性が上がり過ぎ、平滑な薄帯の作製が困難になる傾向があり、作製条件の細かく吟味する必要があることが分かった。 (2)磁区観察システムの製作;本計画で購入した落射偏光顕微鏡を微細磁区の観察に適したシステムに改造するためには特殊な微細絞りが必要であるので、その設計製作・実験を進めている。また、薄帯試料の磁区模様の全体像を把握するために、別途に、現有の金属顕微鏡をベースに設計した低倍率用磁区観察システムを作製中である。これらは、年度内に完成の見込みである。 以上、初年度は、主として予備実験と磁区観察システムの構築に重点があったので、直接的な成果は未だ得られていないが、分担者・山崎との協力をさらに密にして当初計画を進める予定である。磁区の微細観察に関連する成果は裏面のとおりである。
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