研究概要 |
平成6年度では,(A)コミュニケーションの計算モデルを設計し,さらに高機能化した(B)コミュニケーションの状況依存性を考慮したモデルを開発し,(C)コンピュータ(購入備品)上に実装した.特に人間のコミュニーションを「コミュニケーションの主体とその間の関係」という観点から計算モデル化した.これによりコミュニケーションを一般的枠組みで取り扱うことができた.また,提案したモデルを実現する上で,当グループが開発した分散環境記述言語の有効性と状況依存性をもつエージェントが多方面へ応用可能であることが分かった.これらの平成6年度の成果を従来の技術と効果的に組み合わせ統合することにより,新しいモデルの開発を中心とした平成7年度の成果が得られた.具体的には,まず,S Agentに状況によって動作を変化させるマルチフェース性をもたせたモデルを開発した.また,S Agentによる人間とエージェントが互いの長所を生かしながら,所望の仕事を効果的に遂行する環境である協調作業空間の実装(購入備品と現有設備)を行った.同時に複数のマルチフェースエージェントを実装することにより,人間がこれら複数のマルチフェースエージェントを介して,人間同志のコミュニケーションを円滑に且つ効果的に行い,人間-機械システムが協調して協同作業を行うための空間を構築した.さらに,SAgentのマルチフェース性とSAgentによる協調作業空間を,今年度は個別的にテストし,その有効性を確認した.今年度の成果は,来年度にアプリケーションを開発し総合的評価をするためのプラットフォームの開発にあり,その目的を達成し,これで来年度の研究の準備が整った.
|