研究概要 |
セクターアンテナと適応最尤系列推定器からなる知的受信系の計算機シミュレーション結果を検討し,セクターアンテナでは分離できない同一方向から入射する同一チャネル干渉波対策を研究した.この対策としてトレリス符号化同一チャネル干渉波キャンセラ(TCC)を考案し,今年度は計算機シミュレーシンによる特性改善の研究とDSPによる試作の改良を行った.平成7年度に得られた主要な成果を以下にまとめる. ・DSPを用いた室内実験の結果,サンプルタイミングが特性に大きな影響を与えることが分かった.この対策を計算機シミュレーションによって検討し,数シンボルのずれ,1シンボル以内のずれのそれぞれを改善するアルゴリズムを考案した.これらの方式の特性改善効果を計算機シミュレーションによって確認した. ・TCCのレイリーフェージング伝搬路における特性改善方法を研究し,アダプティブアルゴリズムの忘却係数の設定及びインタリーブが有効であることを明らかにした.ディインタリーブと統合されたTCC処理アルゴリズムはレイリーフェージング環境において極めて優れた特性を発揮した. ・昨年度製作したDSPによるTCCは,ハードウエアの不完全性から特性劣化が大きかったが,今年度ハードウエアの改良を行い,計算機シミュレーションと良い一致をみた. 以上,知的信号処理系の核心となる干渉キャンセラ部分をDSPを用いて試作し,実際に室内実験装置系に組み込み特性を確認した.今後,室内実験装置系を拡張し,ダイバーシチ受信などを適用する必要がある.
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