研究課題/領域番号 |
06555108
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 亨 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60162450)
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研究分担者 |
新保 哲也 コマツ研究本部, 研究員
木村 磐根 京都大学, 工学研究科, 教授 (00025884)
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キーワード | 地下探査 / 高分解能レーダー / レーダー信号処理 / 離散モデルフィッティング法 / 不均質媒質 |
研究概要 |
本研究は、離散モデルフィッティング法を地下探査レーダーの実時間信号処理に組み込み、不均質媒質中の埋設物探査に実用性能を持つ高分解能アルゴリズムを開発することを目的とする。標的は比較的小数の点状物体およびこれらを連結した物体の集合により表現できるものとし、このアルゴリズムを小型ワークステーションで実現可能な規模に抑え、準実時間で処理を行なえるシステムを構成する。 本年度は、実際の応用におけるシステムの特性を調べるため、兵庫県加古川市の行者塚古墳発掘現場に昨年度に導入したレーダーシステムを持ち込んで測定を行った。その結果、鉄製容器や鉄剣を事前に検出し、その概略の寸法を推定することに成功した。また、金属遺物に限らず粘土槨と周囲の土壌との地質の差による反射波をとらえることにも成功し、粘土槨の構造と位置を正確に決定することができた。 このように、従来用いられてきた大形の地下探査レーダーによる発掘前の調査とは異なり、発掘過程に小型レーダーを用いた探査を併用することにより、発掘を効率化することが可能であることが明らかとなった。これは遺跡探査技術の新しい利用法であり、発掘中の石棺内の探査や、水田址の探査など、様々な遺跡を対象とする考古学分野の研究者から共同研究の依頼を受けている。今後は、これまでに開発した高度な信号処理アルゴリズムをこれら現場のデータに容易に適用できるよう、さらにアルゴリズムを改良することが課題である。 またアルゴリズムの改良に関しては、従来の直線状地層境界にのみ適用可能であった地層検出手法を改良し、任意形状の地層境界に適用できるようにした。これにより遺跡探査などにおいて重要な地層形状をより正確に推定できるようになると期待される。
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