3次元単色X線CT装置の研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06555116
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 斎藤 恒雄 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (70005312)
• 研究分担者: 武田 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10197311) ; 工藤 博幸 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (60221933)
• キーワード: 3次元CT / CT画像再構成アルゴリズム / シンクロトロン放射光 / 単色X線 / エネルギー差分 / 3次元イメージング

研究概要

前年度の研究成果から、3次元CT装置におけるX線源の走査方式として円と直線からなる軌道が最も実用的であり、この走査によって被写体のすべての3次元情報を収集することができ、完全な3次元像の再構成が可能であることが明かとなった。また、この走査方式に適合した高速3次元CT画像再構成アルゴリズムを導出し、計算機シミュレーションによってその有効性を確認した。
これらの基礎研究に基づき、3次元CT装置を模擬した実験システムを試作した。X線源はシンクロトロン放射光から蛍光X線法によって発生させる円錐ビーム状の単色X線で、そのエネルギーはターゲットを変えることにより可変にできる。ビームは広角で均一な強度を持つことが確認され、実験システムに組み込まれた。被写体は計算機制御された空盤の上にマウントされ、プログラミングによってX線源の走査軌道が実現される。2次元投影データはイメージインテンシファイア(II)によって計測され、定盤を制御する制御信号に同期してデータ収集装置に入力される。IIの歪み補正が行われた後、開発された再構成アルゴリズムによって被写体の3次元CT像が再構成される。
被写体として7層の円盤を重ねたファントムおよび心臓ファントムが用いられ、いずれも完全な3次元像の再構成ができることを確認した。さらに、特定元素(例えば造影剤など)のK吸収端の直前、直後のエネルギーを持つ線源で再構成された像の差分をとるエネルギー差分法により特定元素の3次元空間分布像を得るが可能となった。再構成像は可視化ソフトウエアによって表示され、被写体の3次元構造が視覚的にも明確に確認できる。
これらの研究成果から、3次元イメージングシステムとしての基本的な性能が論理的、実験的に明らかとなり、新しい機能を持つ3次元CT装置の実現可能性についての基礎的なデータ得られて当初の目的がほぼ達成されたものと考えられる。

研究成果

• [文献書誌] Hiroyuki Kudo, Tsuneo Saito: "Derivation and Implementation of a Cone-Beam Reconstruction Algorithm for Nonplanar Orbit" IEEE Transaction m Medical Imaging. 13. 196-211 (1994)
• [文献書誌] Fukai Toyofuku, et al: "Development of a fluorescent X-ray source for medical imaging" Review of Scientific Instrumentation. 66. 1981-1983 (1995)
• [文献書誌] 斎藤恒雄: "3次元イメージング-円錐ビーム投影による3次元CT-" MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY. 13. 183-188 (1995)
• [文献書誌] Hiroyuki Kudo, Tsuneo Saito: "An Extended Completeness Condition for Exact Cone-Beam Reconstruction and Its Application" Proc. IEEE Nuclear Science Symposium 4 Medical Imaging Conference. 1710-1714 (1994)
• [文献書誌] Tsuneo Saito, Hiroyuki Kudo et. al: "Three-dimensional monochromatic X-ray CT" Proc. SPIE (Application of Digital Image Processing). 2564. 543-557 (1995)
• [文献書誌] Hiroyuki Kudo, Tsuneo Saito: "Exact Cone-Beam Reconstruction with a New Completenss Condition" Proc, 1995 International Meeting an Fully Three-Dimeusional Image Recanstruction in Radiology and Naclear Medicine. 255-259 (1995)