研究課題/領域番号 |
06555122
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
笹田 一郎 九州大学, 工学部, 助教授 (20117120)
|
研究分担者 |
松葉 博則 古河電工横浜研究所, 応用物理研究部, 部長
山田 外史 金沢大学, 工学部, 教授 (80019786)
宮崎 明雄 九州大学, 工学部, 助教授 (70192763)
|
キーワード | 脳磁界 / 磁気シールド / 磁気シェイキング / マグネトメータ / 狭スペース多重構造 / 適応的雑音除去 |
研究概要 |
磁性体の比透磁率が4x10^5以上あると、隣り合う磁気シェル間のスペースを1cm程度とした、狭スペース多重シェル構造によって大きなシールド比が達成できることを1/2スケールのモデルで実証し、これに基づき、外側に3重アモルファス多層シェル(総量69kg)、最内にパ-マロイ多層シェル(総量40kg)を設け、人体サイズ(内径92cm、長さ220cm)のシールドの基本部分を完成した。全重量は、非磁性円筒基体、シェイキングコイル、電磁シールド用銅薄板等を含めて約250kgと従来の磁気シールドの重量に比べ1/(10)〜1/(20)と軽量である。開口端補償によって、全長220cm中、残留直流磁界2nT以下(地磁気遮蔽率16000以上)の領域がシールド中心付近60cmの範囲に実現できた。シールド比は外部磁界の周波数が低いほど高くなり、10Hz以下の領域で3600以上が達成された。最内に巻くパ-マロイテープは、その特性を曲げ応力で劣化させないために、円筒基体の外周極率に合わせて熱処理した。これによってシェイキング磁界の漏洩を抑制し、シールド内でピックアップコイル径15mmのSQUIDマグネトメータを動作させるのに成功した。シールド内磁気雑音は、10Hzで23ft/√Hz、0.1Hzで54fT/√Hz、0.1Hzで400fT/√Hzであった。1Hz以下の雑音スペクトルは、1981年にドイツ物理工学研究所内に合計25トンのパ-マロイ、鉄、銅等を用いて建設された、6重シェル構造の従来型磁気シールドより10dB程度優れた結果が得られた。 今回初めて超高感度のSQUIDマグネトメータを用いた実験が可能となりこれまで看過していたシェイキング磁気シールドの細部の特性が見えるようになった。この結果、バルクハウゼン雑音の評価、及びそのシェイキング磁界周波数依存性、さらに、商用電源の高調波成分による磁界とシェイキング磁界の変調による低周波磁気雑音を避けるためのシェイキング周波数の設定法を明確にする必要のあることが新たに判明した。
|