研究概要 |
構造用ケーブルは振動減衰能が極めて小さいことから,風等の作用によるケーブル部材や全体構造の振動が問題とされることが多く,各種制振対策が施されている。しかし,既往の対策では各問題に対して対処療法的に,広義のダンパーを新たに付加することに留まっている。本研究では,構造用ケーブルそのものの振動減衰能を高める工夫を試み,汎用的かつ実用的な高減衰ケーブルを開発することを目的とした。 今年度に行った具体的な研究内容は以下のとおりである。 1.ヒステリシスループの膨らみを大きくするための材料的工夫を数値パラメータ解析により検討した。つまり,ケーブルと被覆管との間やソケット部に,そのせん断変形が大きくなるように粘弾性材を挿入した場合を考えて,そのロスファクターを解析的に求めた。同時に,複素剛性法と複素固有値解析によるモード減衰算定法を再検討した。 2.丸鋼棒に粘弾性材を巻いた試験体を用い,粘弾性材による高減衰化の可能性に関する実験的検討を行った。粘弾性材の巻き方を螺旋状にするなど,いくつか工夫を試みたが,極端な高減衰化は難しいことが明らかとなった。 3.粘弾性材による高減衰化が簡単ではないことが明らかになったため,2次ケーブルによるケーブル振動制御について,その減衰効果を実験及び解析により検討した。 4.ケーブル支点付近でのアクティブ波動制御についても,その可能性を数値実験により検討した。
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