研究概要 |
河川や海岸・港湾での土砂の移動と分布を測定することは,基礎研究としても,実用上においても,重要な項目である.しかし,現状においては,吸引式サンプラーによる平均濃度や高々狭い間隙間を通過する光電管光の変化から1点での土砂濃度変動を求めているにすぎない. そこで本研究では,土砂濃度の2次元的瞬間分布を,相対する二辺上に並びレーザー発光源・受光点間の光度減衰データから,CT型の逆問題として測定する計測器を開発した. 1.原理:濃度場を(1)二重フーリエ級数あるいは(2)仮想荷重法(日野が1975年に提案した弾性平板の撓みのグリーン関数で展開する方法)で表現し,流に沿う一直線上に配置した発光源からのレーザー光を相対する直線上の受光点列で受け,その減衰データから逆問題として(1)あるいは(2)の展開係数を解き,二次元濃度場を再構成する. 2.計器の特長:(1)機器が流れと濃度場を乱さないよう(医用CTスキャナーと異なり)回転部分を有しないこと.(2)普通の研究者や技術者が購入しうるよう安価であること,(3)コンパクトで実験室や現場での取扱いが簡単であること,(4)水中で使用可能なことを目的に開発した. 3.成果:(1)(1)の二重フーリエ級数法にはいくつかの問題点があったが,(2)の仮想荷重法による方法は極めて有効であった.(2)また,軽便で実験室・現場で取扱いができ,安価であるという開発目標を満足する試作機を完成した.(3)今後は市販機の製作・製造に取り組む予定である.
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