わが国における自然閉鎖水域の汚染状況は深刻の一途をたどっている。この問題を解決するために、本研究では、湖沼、ダム貯水池などの自然閉鎖水域における新しい汚水浄化法に関する技術開発について取りくみを行った。この研究の特色として、従来不可能と考えられていた自然閉鎖水域の汚水浄化にマイクロバブル発生技術を適用し、浮遊性物質を沈降・安定化することにある。具体的な目的として、1から10ミクロンオーダーの微細気泡を発生するエアレータを屋外の閉鎖水域に適用して、その浄化に関する基礎データを得ること、室内実験において、汚濁が顕著となっている閉鎖水域の水について、本エアレータの適用効果、微細気泡による物理的浄化のメカニズム、適切な空気量、気泡径、気泡量について検討がなされた。 本年度行われた屋外実験の場所は、広島の縮景園、三井グリーンランドの調整池である。ここにおいて、エアレータによる浄化実験が行われ、その有効性と問題点も明らかとなった。すなわち、空気量の調整、適切な設置を行うことにより、一定限度の水質に対しては、十分な効果があることが明らかとなった。室内実験においては、汚濁物質の異なる水(諏訪湖、島根県M池、広島市S池、岩国市I堀割り、熊本市M池など)について、連続的にエアレーションを行い、その水質の時系列の変化を調べて。また、空気量、気泡径、さらには気泡の量が水質浄化に果たす役割を調べるために、数種類のエアレータとエアレータをしないケースについて、比較実験を行った。その結果、微細気泡が物理的な浄化機構に果たす役割がある程度明らかとなりつつある。また、その気泡量の検討から、間欠曝気方式が有効であることも明らかとなった。
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