研究課題/領域番号 |
06555163
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
土木環境システム
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀内 将人 京都大学, 工学研究科, 助手 (00157059)
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研究分担者 |
米田 稔 京都大学, 工学研究科, 助手 (40182852)
森澤 眞輔 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026340)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 重金属 / 市街地土壌汚染 / 収脱着 / 通気層 / 動態 / 工学的対策 / 環境調査 / 数学モデル |
研究概要 |
本研究は市街地土壌の重金属による汚染問題を研究対象とし、野外調査による土壌汚染元素の同定、通気層内での水分・重金属の挙動を評価するための手法の開発、重金属の土壌への収着特性と含水率との関係の実験的把握、汚染した土壌からの有害物質の外部環境への移行を制御するための工学的対策の提案等について検討を行った。各研究課題に対して得られた結果および結論は、個々に非常に重要かつ新たな知見を数多く含む。野外調査では、表層土壌中の元素濃度の分析から多くの重金属がケミカルフォールアウト由来で表層土壌に供給されていることを指摘した。中でもBr、Sb、Zn、Cu、Cd、Pbが清掃工場から外部環境中に放出されている可能性が高いこと、大震災に伴う大火災、野焼きによって多くの重金属が地表面に付加されたこと、等の指摘は今後の大気由来での重金属汚染問題を取り扱う場合に非常に重要な知見を与えたと言える。通気層中での重金属の収脱着反応に関しては、これまで水分飽和条件下での収着反応で代用することの多かった水分不飽和条件下での重金属の収着現象を定量的に評価し、含水率と分配係数との関係を示した。その結果、遅延係数は含水率の変化に関わらずほぼ一定値をとること、など非常に実用性の高い知見を得た。通気層内での水分・物質移動に関しては、表層付近での土壌水分移動の複雑さを実験的に示すとともに、複雑な上下方向への土壌水分・物質移動を記述するモデルを提案し、実験結果との比較からモデルの検証を試みた。本研究のように、土壌水分の水分恒数と水分移動特性とをモデルの上で関連づけ、物理的な機構を踏まえた上で複雑な不飽和水分・物質移動を評価するモデルはこれまでにほとんど提案されていない。汚染した土壌からの有害物質の外部環境への移行の制御に関しては、通気層内での有害物質の移動を制御する工法として、土粒子の毛管力の違いに注目したキャピラリーバリアを提案し、その有効性を実験的理論的に検討した。本手法は安価で技術的にも容易な点が特徴である。
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