研究分担者 |
村上 定瞭 宇部高専, 物質工学科, 教授 (00035065)
深川 勝之 宇部高専, 物質工学科, 教授 (20043870)
今井 剛 山口大学, 工学部, 助手 (20263791)
関根 雅彦 山口大学, 工学部, 助教授 (30163108)
浮田 正夫 山口大学, 工学部, 教授 (60035061)
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研究概要 |
1.海洋投棄廃液の陸上処理法の確立 (1)2段処理装置による廃液処理実験 装置上部に嫌気性ろ床を設け,処理水還流を行わない方式を考案・導入したことにより,明らかに装置下部での自己造粒化を促進させる効果が認められた。また,自己造粒後も安定した汚泥濃度が維持された。撹拌を行わないこの装置では,下部において酸発酵菌とメタン発酵菌との棲み分けが行われ,二相嫌気消化の自己造粒プロセスが構築された。 (2)高塩類・高濃度有機性廃液処理:装置のスタートアップ段階において塩分希釈馴致を行った結果,塩分存在下での難分解性のスルファニルアミンの分解が可能となり,一段目で酢酸を分解させ,2段目でのスルファニルアミンを分解させる2段生物膜法が実用化できることが明らかとなった。 (3)膜分離高濃度活性汚泥法:オゾンによる難分解性物質の易分解性物質への変換が実証でき,3段処理による写真廃液処理の実用化の基礎が確立できた。 2.海洋流入廃棄物の海洋環境影響 栄養塩類の外洋流入の影響について,主として黒潮海域について検討した。現行の沿岸域での浄化作用はほとんど期待できず,その大部分がそのまま外洋に流出している現実から,また外洋の受容量の大きいことから,生態系への影響は現状とほぼ変わらないと推察できた。また,魚の挙動を把握するための実験結果の解析をもとに,沿岸海域の魚類を頂点とした生態系モデルを構築した。 平成6年度の研究計画に対して,陸上処理法については,ほぼ満足できる成果が得られた。特に,2段処理装置において上部に嫌気性ろ床を設け,処理水還流を行わない方式を考案・採用したことにより,自己造粒化の促進,酸発酵菌とメタン発酵菌との棲み分け,及び処理効率の向上がみとめられ,今後の自己造粒法による排水処理の発展方向に有力な示唆を与えたと考えられる。また,高塩類・高濃度有機性廃液や写真廃液の陸上処理への道が開け,海洋投棄の廃止にともなう対応技術の基礎が確立できた。今後はこれらの実験を継続するとともに,本処理方式をスケールアップした場合の問題点や経済性等の評価を行っていく予定である。 また,海洋投入廃棄物の海洋環境への影響については,栄養塩類の管理については所定の成果が得られ,生態モデルに関する研究も順調である。
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