研究課題/領域番号 |
06555164
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
土木環境システム
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
浮田 正夫 山口大学, 工学部, 教授 (60035061)
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研究分担者 |
村上 定瞭 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (00035065)
深川 勝之 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (20043870)
今井 剛 山口大学, 工学部, 助手 (20263791)
関根 雅彦 山口大学, 工学部, 助教授 (30163108)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 海洋投棄 / 高塩類・高濃度有機性廃液 / 嫌気性排水処理 / 上向流式嫌気性ハイブリッドブランケット法 / 自己造粒化汚泥 / 栄養塩類 / 生態系モデル / 経済評価 |
研究概要 |
1.海洋投棄廃液の陸上処理法の確立 (1)複合処理装置による難分解性廃液処理実験:本研究でその有効性が明らかとなった上向流式嫌気性ハイブリッドブランケット(UAHB)法と二段接触酸化法を組み合わせた複合処理装置を考案し、さらに返送工程を設けることにより嫌気好気循環プロセスを構築した。このプロセスにより従来処理が困難であり海洋投棄に委ねられてきた硫酸塩等の各種の塩類・アミノ酸及び有機物を高濃度に含むアミノ酸系発酸工程廃液を対象に実処理実験を行った。UAHB法による廃液処理では、易分解性の有機物がほぼすべて嫌気過程のみで除去されることが実験的に確認され、加えて余剰汚泥の発生も事実上ゼロであったことから、本UAHB装置の有効性が明らかとなった。また、二段接触酸化法からの返送水中に含まれる亜硝酸・硝酸はすべてUAHB装置内で脱窒され、二段接触酸化法の消化率をさらに上昇させることにより、プロセス全体の窒素除去能の上昇が望めることが示された。二段接触酸化法については、装置の操作指針となる二段接触酸化槽に対する亜硝酸・硝酸負荷の限界負荷量が実験的に求められた。この値をもとに環境比及び二段接触酸化法の水理学的滞留時間(HRT)を制御することにより、有機物除去のみならず安定した硝化能が得られると考えられる。ただし、嫌気過程から好気過程に流入する還元硫黄化合物は好気過程での有機物除去、特に硝化に多大な影響を及ぼすことが実験的に確認されたため、このことを考慮に入れてプロセスの循環比を決定すべきであることが示された。 (2)高塩類・高濃度有機性廃液処理:装置のスタートアップ段階において塩分希釈馴致を行った結果、高塩分存在下での難分解性のスルファニルアミンの分解が可能であることを実験的に実証した。すなわち一段目で酢酸を分解させ、2段目でのスルファニルアミンを分解させる2段生物膜法のプロセスの実用化の見通しが得られた。 (3)膜分離高濃度活性汚泥法:オゾンによる難分解性物質の易分解性物質への変換が実証でき、3段処理による写真廃液処理の有用性が実験的に確認され、その実用化の見通しが得られた。 2.海洋流入廃棄物の海洋環境影響 栄養塩類の外洋流入の影響について,主として黒潮海域についての検討を行った。その結果、現行の沿岸域での浄化作用はほとんど期待できず、その大部分がそのまま外洋に流出していることが明らかとなった。しかしながら、外洋の受容量の大きいことより、生態系への影響は現状とほぼ変わらないと推定された。また、魚の挙動を把握するための実験結果の解析をもとに、沿岸海域の魚類を頂点とした生態系モデルを構築し、瀬戸内海を対象にそれによる水産資源への影響を明らかにした。さらに、栄養塩類の適正配分という観点から排水処理技術と栄養塩管理の在り方を考慮した負荷量削減対策を提案した。
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