地震時におけるわが国の顕著な特徴として、家屋が無傷でも室内が散乱することに起因する死傷者が極めて多いことがあげられる。これの軽減を目的として、居室内の地震時危険性を評価するシステムを構築することが本研究の目的である。本研究は平成6年度を初年度に3カ年の研究期間を設定しており、本年度は2年目にあたる。3カ年間に上記の目的を達成するために、以下の3点をサブテーマとして掲げている。 1.居住室内における人的被害発生のプロセスのモデル化 2.上記モデルの具体的防災・減災対策(わが家の居住室環境改善法)への応用法の検討 3.往診型危険度評価システムの提案 初年度(平成6年度)は上記目的のサブテーマ1「居住室内における人的被害発生のプロセスのモデル化」を中心に、主に室内散乱発生プロセスを追った。本年度はこれを発展的に進め、主として散乱状況下における人間の災害回避能力について研究を進めた。成果は日本建築学会構造系論文報告集に発表した。この成果は、上記サブテーマ2「モデルの防災・減災対策への応用」に直接的に関与する。すなわち、地震時の危険空間が初年度のモデルにより、回避空間が本年度のモデルにより具体的に示すことができ、両者のオーバーラップにより室内安全空間構成法が示されたことになる。 さらに、最終年度に予定されている現場的に簡易に室内危険度が評価できるシステム構築に向け、関連アプリケーションの整備を行った。
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