研究課題
材料科学のなかで相転移の占める割合は大きい。室温、低温での結晶構造解析、相転移のメカニズムの解明など今後、ますますその必要性が増すと思われる。X線を用いた結晶構造を調べる装置としては現在4軸型回折計という非常に便利な装置がある。この装置に搭載可能な低温装置は現在2種類に分類できる。ひとつは熱サイクルを利用したもので、もうひとつは窒素の吹き付け型である。前者は、すでに利用され多くの成果を出しているが、かなりの大きさ、重さになるため、通常のオンセンター型の4軸回折計には搭載できず、オフセンター型の4軸に搭載されている。また、窒素の吹き付け型のものは試料回りの温度の均一性、窒素の大量消費、結露などの問題点がある。そこで熱サイクルを利用した小型の低温装置を通常の4軸型回折計に搭載できるように試作、開発することを目的とした。通常型の4軸回折計に搭載可能な形に組み上げ、低温テストを繰り返した。しかし期待したほどの低温を得ることができず、熱絶縁、真空の試験を繰り返した。またアメリカのメーカーに冷凍機本体の不具合の確認などを行うことに、かなりの時間を費やさざるをえなかった。しかし最近それらの問題も解決し、現在約-180℃まで温度が下がり、コンスタントな低温を得ることができるようになった。現在ラウエ写真の撮影や、4軸回折計に搭載して反射の測定を行い、格子定数の変化を確認している。心配していた冷凍機から来る振動も測定に問題になるほどではない事がわかった。真空に関しては当初計画していた「測定中は真空ラインをはずす」ということでは真空の劣化が徐々に起こり、コンスタントな低温を得られないことが分かり、真空をひきながらの使用になったが、真空ポンプからくる振動も問題にはなっていない。
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