本研究はセラミックス成形体構造の評価用として近年我々が開発した浸液透光法の最適化および定量化を行うとともに、従来の評価法との相関の確立を目的として行われたもので、人工的に導入された気孔を含む成形体試料について次の検討を行った。(1)鮮明な映像を得るための諸条件の確定。(2)映像情報と成形体構造の関係の定量化。(3)本方法と従来の定量的欠陥評価法である水銀圧入法気孔径分布評価法やSEM観察との比較検討 平成6年度には計画どおり種々の寸法の人工的な球形欠陥を含むアルミナ成形体についての検討を行い、次のことを明きらかにした。 (1)アルミナ粒子の平均粒径と共に試料の透明化に要する浸液の屈折率は変化し、一般に平均粒径が可視光線の波長に比べて著しく小さい粉体では透明化および評価が容易である。 (2)顕微鏡画像は試料の厚みや粒径の増加、ならびに欠陥寸法の減少とともに不鮮明となるが、試料厚み0.1mm程度では、すべての試料において直径10μmの気孔が評価可能である。 (3)表面付近の球形気孔は試料調製時に損傷を受け、観察不可能となるが、その領域の深さは気孔の半径程度である。それ以外の領域では、人工気孔の寸法の予測値と観察値は非常によく一致したことから、本方法では気孔の正確な寸法が評価可能であることが明きらかとなった。 (4)従来の代表的な気孔評価法である水銀圧入法やSEMでは、巨大欠陥の検出・評価は極めて困難であることから、本方法の有効性が再確認された。
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