研究課題/領域番号 |
06555187
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
国武 豊喜 九州大学, 工学部, 教授 (40037734)
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研究分担者 |
諌山 宗敏 福岡工業技術センター, 主任技師
一ノ瀬 泉 九州大学, 工学部, 助手 (50243910)
君塚 信夫 九州大学, 工学部, 助教授 (90186304)
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キーワード | 二分子膜 / キャストフィルム / 分子鋳型 / 無機超薄膜 / 低次元シアノ架橋錯体 / 酸化モリブデン |
研究概要 |
本研究では、分子膜(二分子膜、単分子膜)表面における規則的な静電的相互作用を利用して、従来の方法では得ることができない低次元無機クラスターの作成、またそれらの電子・光学材料としての実用化の検討を目的とした。本年度は、特にキャストフィルム層間での二次元架橋クラスターや金属酸化物超薄膜の作成について検討を行った。また無機超薄膜と二分子膜表面との電子的相互作用に着目し、以下のような成果が得られた。 (1)ビピリジル型親水部を有する二分子膜キャストフィルムの層間で、二次元シアノ架橋クラスターを作成することに成功した。またこれらのシアノ架橋クラスターは、二分子膜表面のビピリジル基と強力な電子的相互作用を起こしていることが明らかとなり、特異な酸化還元挙動や面内での加速された電子移動が観察された。これらは、光記憶素子あるいは薄膜型太陽電池として応用が可能であると期待できる。 (2)一方、様々な二分子膜層間での金属酸化物クラスターの二次元配列化を検討した。その結果、エチレンジアミンの型二分子膜フィルムをオクタモリブデン酸水溶液に浸漬することで、原子数個分の厚みの酸化モリブデン超薄膜を作成することに成功した。さらに、硫酸ヒドラジンによる還元から、Mo(V)原子が規則配向した混合原子価酸化モリブデン超薄膜を形成できることが示された。本手法は、他の多核金属錯体(デカバナジン酸、タングステン酸やカドミウムの多核錯体等)にも拡張することが可能であり、有機・無機交互多重層構造の作成に広く一般化できることが明らかとなった。
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