食品包装用SiOxコートガスバリヤ-フィルムの開発

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06555192
• 研究機関: 静岡大学
• 研究代表者: 稲垣 訓宏 静岡大学, 工学部, 教授 (30022015)
• 研究分担者: 長谷川 哲 藤森工業(株), 包装研究所, 研究員 ; 田坂 茂 静岡大学, 工学部, 助教授 (10134793)
• キーワード: SiOx / ガスバリヤ- / PETフィルム / 包装材料 / プラズマ重合 / 酸素透過量 / テトラメチルシラン(TMS) / テトラメトキシシラン(TMOS)

研究概要

本研究はポリエステルを食品包装材料への用途開発を図るため、食品包装材として必須要素の一つであるである酸素ガスバリヤ-性能を改善するすることを目的として計画された。具体的には、ポリエステルフィルムの酸素ガスバリヤ-性能が、SiOxをフィルム表面にコートすることによって改善が可能であるかを検討した。なお、SiOxの合成には有機シラン化合物のプラズマ重合法を採用した。
1.有機シラン化合物であるテトラメチルシシラン(TMS)、テトラメトキシシラン(TMOS)のプラズマ重合からSiOxを含む薄膜の合成が可能である。
2.TMSおよびTMOSのプラズマ重合の際に、酸素を混合することによって、プラズマポリマー中の炭素成分を減少することができる。
3.リモート酸素プラズマの照射は、TMS、TMOSのアルキル基の分解を促進し、炭素成分の少ないプラズマポリマーSiOxが合成できる。
4.TMOSに酸素を60mol%混合した混合物は、プラズマ重合によるSiOx合成の原料として適当である。
5.TMOS/O2混合物(60mol%O_2)からのプラズマ重合により合成したSiOxのコートは、ポリエステルフィルムの酸素ガスバリヤ-性能を向上することが可能である。
6.SiOxをコートした(80nm厚さ)ポリエステルフィルムの酸素ガス透過量は、未コートフィルムの約1/4に低下した。とみに、SiOxをコートした(80nm厚さ)ポリエステルフィルムの酸素ガス透過量は14cm^3/m^2-day-atmであり、未コートフィルムの透過量は38cm^3/m^2-day-atmである。

研究成果

• [文献書誌] 山田泰美、田坂 茂、稲垣訓宏: "SiOx薄膜合成におけるリモート酸素プラズマの効果" 高分子論文集. 53. 33-40 (1996)
• [文献書誌] N.Inagaki,S.Tasaka,M.Masumoto: "Improved Adhesion between Kapton Film and Copper Metal by plasma Graftpolymerization of Vinylimidazole" Macromolecules. 29. 1642-1648 (1996)
• [文献書誌] Y.Yamada,I.Yamada,S.Tasaka,N.Inagaki: "Surface Modification of Poly(tetrafluorocthylene) by Remote Hydrogen Plsama" Macromolecues. 29. 4331-4339 (1996)
• [文献書誌] N.Inagaki,S.Tasaka,H.Ohmori,S.Mibu: "Improvement in the Adhesion between Copper Metal and Polyimide Substrate by Plasma Polymer Deposition of Cyano Compounds onto Polyimide" Journal of Adhesion Science and Technology. 10. 243-256 (1996)
• [文献書誌] N.Inagaki,S.Tasaka,Y.Sei: "Plasma Polymer Thin films of Zinc Phthalocyanies for NO2 Gas Sensor Device" Polymer Bulletine. 36. 601-607 (1996)
• [文献書誌] 稲垣訓宏: "イオン・プラズマ応用技術" トライポロジスト. 41. 911-916 (1996)
• [文献書誌] N.Inagaki: "Hydrophilic Surfaces (Plasma Treatment and Plasma Polymerization) in Polymeric Materials Encyclopedia" CRC Press (U.S.A.), 3115-3123 (1996)
• [文献書誌] N.Inagaki: "Plasma Surface Modification and Plasma Polymerization" Technomic Pub. (U.S.A.), 1-265 (1996)