研究概要 |
1.本研究の目的は,長繊維で強化されたセラミックス基複合材料の衝撃曲げ試験に際して,正確な測定データを入手する条件を探索すること,およびその条件の下において各種複合材料の簡便な衝撃破壊試験が行えるような試験装置を開発して行くことであった. 2.カーボン繊維強化型窒化ケイ素,チラノ繊維積層体等の有望な長繊維一方向強化材について詳細な組織観察を行い,破壊時に生じるき裂進展経路に関する基礎データを蓄積した. 3.試験片の振動と試験片破壊時に発生する補強繊維の破断に付随するAE信号とは,歪みゲージからの出力をハイパスフィルターで処理することによって,ほぼ完全に分離できることが明らかになった.その際,カット周波数を変えると,繊維切断のAE,繊維引き抜きのAE,並びにマトリックス相破壊のAE等をより詳細に議論できる可能性を指摘できた. 4.カーボン繊維強化の窒化ケイ素の引っ張り強度は,速度依存性を持たなかったが,繊維間の剪断強度は変形速度の増加と共に明確に増加した.後者はカーボン繊維そのものの性質を反映していると解釈した.一方チラノ繊維結合体の引っ張りと剪断強度は,変形速度の上昇,測定環境温度の低下と共に上昇することを見い出した. 5.以上の長繊維強化型セラミックス基複合材料の曲げ衝撃破壊に関する基礎的な調査研究結果を参考にしながら,設置面積の小さな入力棒落下型の簡便な衝撃破壊試験機を試作し,その作動状況を確認することができた.
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