研究課題
試験研究(B)
セラミックス/金属系のナノコンポジットに関し、以下の成果を上げた。1)Al_2O_3粉末にMo或いはW金属粉末を混合し、それをアルゴン中で加熱焼結させる方法で、セラミックスの結晶粒中にMo、W金属ナノ粒子を分散させたセラミックス/金属ナノコンポジットの製造に成功した。2)Al_2O_3粉末にWO_3或いはMoO_3酸化物を均一に混合し、この混合物を焼結途中で水素中で加熱し、金属酸化物のみを金属に還元し、その後に焼結させる方法でAl_2O_3セラミックス中に、前記の方法よりより微細な10〜40nmのW或いはMo金属粒子を分散したセラミックス/金属ナノコンポジットの製造に成功した。3)Al_2O_3粉末にNiO、Ni(NH_3)H_2Oをアルコール中で均一に混合し、この混合物を焼結途中で水素中で加熱し、Ni酸化物や硝酸塩を金属ナノ粒子に変え、その後に焼結させる方法で、Al_2O_3結晶粒中にNiナノ粒子を均一に分散させた、Al_2O_3/Ni系ナノコンポジットの製造に成功した。4)以上のAl_2O_3/金属ナノコンポジット系において、何れの複合系において金属ナノ粒子により、Al_2O_3の強度が1.5〜2倍以上も改善可能であることを見い出した。5)NiやWナノ粒子を分散させた複合系においては、予想とは逆に、NiやWナノ粒子分散により室温強度のみでなく高温強度の改善も可能であること、またNiナノ粒子分散の場合は、機械的特性の改善と共に強磁性特性の付与も可能であることを見い出した。6)この結果は、ナノコンポジット技術が複数の機能を調和させた複合材料の創製を可能にすることを示していると考えられる。7)更にZrO_2にMo金属を混合し、この混合物を加熱焼結させる方法で、ZrO_2の中に約20nmのMo金属が、また数ミクロンのMo金属粒子中に約50〜100nmのZrO2粒子が分散した、双方向ナノコンポジットの製造に成功した。
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