研究課題/領域番号 |
06555197
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井口 泰孝 東北大学, 工学部, 教授 (90005413)
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研究分担者 |
成島 尚之 東北大学, 工学部, 助教授 (20198394)
国分 馨 日本精線(株), 商品開発部長
半田 康延 東北大学, 医学系・研究科, 教授 (00111790)
星宮 望 東北大学, 工学部, 教授 (50005394)
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キーワード | FES / 電極 / 疲労試験 / コバルト基合金 / 生体材料 / TES |
研究概要 |
電極材質の検討 現在臨床的に使用している機能的電気刺激用経皮的筋肉埋め込み電極の素材であるSUS316Lステンレス鋼と比較して、より耐食性が優れていることが確認されたコバルト-クロム合金604PH(42.21Co-21.37Cr-16.89Ni-6.26Mo-1.10Mn-balanceFe)を用いて、径25μmの極細線を線引きした。この細線を19本撚りし、表面をテフロンで被覆した後ヘリカル巻加工して従来の電極と同一の形状の電極を作製した。この両材質について、生理食塩水中でのパルス電流通電条件における累積10週間にわたる成分元素の溶出試験を行った。これは実際の体内での埋め込み条件に対して10年間に相当する加速試験である。更に、同溶液中で繰り返し回転曲げ疲労試験を行った。 その結果、いずれの材質においてもニッケルの溶出が認められるが、2週目以降急激に減少した。溶出量はコバルト-クロム合金の方が僅かであるが少ない。しかしながら、SUS316Lでは鉄、604PHではコバルトがそれぞれニッケルと同等量溶出した。疲労試験において、10^7回時の疲労限はSUS316Lはr=4.0mm、604PHではr=4.0mm以下であり、若干ではあるが後者の方が疲労特性が良いと考えられる。 しかしながら、長期間の埋め込みが予定される人体へのアレルギー性が懸念されるニッケルの溶出が少量といえども皆無でないため、ニッケルを含有せず、MRI対応で非磁性であり、耐食性に優れ、機械的強度も十分である新しい合金の開発に着手した。現在データベースを用いたコンピューターシュミレーションによる材料設計を行っているところである。 試作電極の動物実験 他のグループにより試作された間接的に電力および信号の供給が可能な刺激装置に特殊コネクターを介して、これらの電極を接続し、山羊に刺激装置とともに埋め込んだ。現在、化学的(井口)、電気的(星宮)、機械的(井口)、埋め込みの安定性(半田)についてデータの収集を行っている。年度内には更にもう1頭の山羊に2世代目の刺激装置とともに電極を埋め込む予定である。
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