研究課題/領域番号 |
06555199
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
杉本 諭 東北大学, 工学部, 助教授 (10171175)
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研究分担者 |
中村 元 東北大学, 工学部, 助手 (40250716)
籠谷 登志夫 東北大学, 工学部, 助手 (40005343)
岡田 益男 東北大学, 工学部, 教授 (80133049)
本間 基文 東北大学, 工学部, 教授 (50005261)
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キーワード | 強誘電性 / 強磁性 / 結晶化熱処理 / スパッタ薄膜 / 磁気特性 / 磁気光学特性 / アモルファス |
研究概要 |
強磁性と強誘電性を伴に有する材料としては反強磁性ペロブスカイトのBiFeO_3と強誘電性もしくは反強誘電性ペロブスカイト(化学式ではABO_3と表す)を固溶させたBiFeO_3-ABO_3系がある。本研究では広い組成範囲で作製条件を検討することにより、組成と磁気特性、誘電特性、光学特性の関係が明らかにし、アモルファスまたは微細結晶組織からなる高い磁気特性、誘電特性、光学特性を有する酸化物系スパッタ薄膜材料の開発を目的とする。なお今年度の方針としては昨年度の方針を継続し、組織を観察し諸特性との関係を明らかにする事にある。実験方法は以下の通りである。反強磁性ペロブスカイトとしてBiFeO_3、強誘電性ペロブスカイトとしてPZTを選び、PZT、Bi_2O_3、Fe_2O_3粉末を混合した後これをターゲットとしてRFスパッタにて薄膜を作製した。薄膜の熱処理は673〜1173Kにおいて行った。相の同定にはX線ディフラクトメーター、磁気特性測定にはVSM、磁気光学測定装置、誘電特性にはインピーダンスアナライザー、透過率の測定には分光高度計を用いた。また組織観察にはSEMおよびTEMを用いた。得られた結果を要約すると以下のようになる。1.Bi_2O_3-Fe_2O_3-PZT系薄膜にLa_2O_3を添加することにより、薄膜の結晶化温度は高温側にシフトし、0.625Fe_2O_3-0.375{0.33(Bi_<1-x>La_x)_2O_3-0.67PZT}系薄膜においてx=0.3以上の組成薄膜では、948Kの高温で熱処理を施してもX線的にアモルファスを示した。2.しかし、膜中の微視的構造は完全なアモルファス構造ではなく、数nmオーダーの微細粒らしきものの凝集が存在することが観察された。3.948Kで熱処理した0.625Fe_2O_3-0.375{0.33(Bi_<1-x>La_x)_2O_3-0.67PZT}組成薄膜試料において飽和磁化Ms=57.3mWbm^<-2>、保磁力Hc=183kAm^<-1>、Mr/Ms=0.64であり、さらに波長633nmで見かけのカ-回転角2θ_k=0.52degなる値が得られた。これより本系酸化物が磁気記録媒体としての可能性を有するものと考えられる。
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