粒界制御によるセラミックスの超塑性変形能の改善

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06555202
• 研究種目: 試験研究(B)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 佐久間 健人 東京大学, 工学部, 教授 (50005500)
• 研究分担者: 西山 昭雄 三菱マテリアル(株)中央研究所, 室長
• キーワード: 超塑性 / セラミックス / 粒界ガラス相 / 高温変形 / 焼結鍛造 / 延性

研究概要

平成6年度に得られた実績は以下のように要約される。
(1)TZP粒界ガラス相としてSiO_2、アルミノシリケートガラス(AS)、β-スポジユメンガラス(βS)を加えた材料を調整し、高温引張特性を調べた。いずれのガラスも高温変形応力の低下をもたらしたが、高温延性はガラスの種類によって全く異なるものであった。SiO_2は延性を著しく改善するが、ASおよびβSはむしろ延性の低下をもたらした。この結果、延性が母相結晶粒とガラス相との界面の特性に依存するものであることを示している。
(2)従来、多結晶セラミックスの高温変形応力は、結晶粒が微細になるにつれて低下し、伸びが改善されるといわれている。ところが、材料によってはこの解釈が成立しないものがあることが明らかとなった。上記のガラス添加TZPはその一例である。Al_2O_3基複合セラミックスについても、変形応力及び延性が結晶粒寸法だけでは記述できないことが示された。
(3)三菱マテリアル(株)との共同研究により、優れた機械的特性を有するAl_2O_3-ZrO_2セラミックスを焼結鍛造により製造できることが明らかになった。これは、セラミックスの超塑性加工の実現に展望をひらくものである。

研究成果

• [文献書誌] T.Sakuma,Y.Yoshizawa: "Superplasticity in Ceramics with Glass Phase" Mater.Sci.Forum. 170-172. 369-378 (1994)
• [文献書誌] K.Okada,et al.: "The Grain Growth during Superplastic Flow in Al_2O_3-base Ceramics" Mater.Sci.Forum. 170-172. 385-390 (1994)
• [文献書誌] K.Kajihara,et al.: "The Enhancement of Superplastic Flow in TZP with SiO_2-doping" Acta Metall.Mater.,. (印刷中).
• [文献書誌] T.Sakuma: "Superplastic Flow in Fine -Grained Ceramics" 材料強度国際会議報告. 63-70 (1994)
• [文献書誌] K.Okada,T.Sakuma: "Tensile Ductility in Al_2O_3-10nt%ZrO_2(2.5mol%Y_2O_3)" 材料強度国際会議報告. 839-842 (1994)
• [文献書誌] Y.Yoshizawa,T.Sakuma: "High-Temperature Deformation and Cavitation in Fine-Grained Al_2O_3" Mater.Sci.Eng.,. A176. 447-453 (1994)