研究課題/領域番号 |
06555212
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永井 宏 大阪大学, 工学部, 教授 (80029206)
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研究分担者 |
勝山 茂 大阪大学, 工学部, 助手 (00224478)
真島 一彦 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029270)
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キーワード | 熱電材料 / β-FeSi_2 / メカニカルアロイング / 粉末冶金 / 焼結材料 / ナノコンポジット / 熱起電力 / 熱伝導率 |
研究概要 |
熱電素子材料の性能指数Zは、Z=Q^2/κρ(Q:熱起電力、κ:熱伝導率、ρ:電気抵抗)で表わされ、性能を向上させるためには、Qを増大させ、κ・ρを小さくすることが必要である。 本年度の研究の結果、MG法およびMA法によってNi,CuおよびCo粉末を添加した微細FeSi_2粉末を作製し、それを900℃、30min間ホットプレスすることによって、半導体相であるβ-FeSi_2相の組織を極めて微細にして熱伝導率を約20%小さくすることに成功すると同時に、β-FeSi_2相中に微細な金属相ε-FeSi粒子を分散させることによって電気抵抗を50%以上も減少させることに成功した。さらに、CuおよびCoの同時添加によって熱起電力Qを増大させることにより、N型β-FeSi_2系熱電材料の性能を大幅に向上させることに成功した。 得られた成果を要約すると、以下の通りである。 1)Cuはβ-FeSi_2相には固溶せず、ε-FeSi相にのみ固溶する。一方、Coはβ-FeSi_2相にもε-FeSi相にも固溶する。したがって、Cu添加による電気抵抗の減少は、ε-FeSi相の電気抵抗の低下およびε-FeSi相量の増大によるものと考えられる。 2)熱起電力QはCu添加によって特に低温領域において増加し、過剰に添加すると減少した。β-FeSi_2相へのCu単独添加は、β-FeSi_2相をP型にするが、Coととの同時添加した場合にはN型となる。これはCoを固溶したβ-FeSi_2相にはCuが固溶しないことによるものと考えられる。
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