| 研究概要 |
熱電素子材料の性能指数Zは、Z=Q^2/κρ(Q:熱起電力、κ:熱伝導率、ρ:電気抵抗)で表わされ、性能を向上させるためには、Qを増大させ、κ・ρを小さくすることが必要である。
本研究では、性能指標Zの大きい熱電材料の開発を目的として、Ni, Cu, Al, Ti, Zr, Nb粉末をβ-feSi_2に添加し、熱伝導率の低下を目的としてSiC微粒子を分散させたβ-feSi_2をMGおよびMA法によって、またCoSb_3についてはMG法によって作製して、それらの試料を900℃、30min, 25Mpaでホットプレスすることによって焼結体を作製し、熱電特性を測定評価した。
得られた主な成果を要約すると、以下の通りである。
1)MAおよびMG法の活用によって、極めて微細な組織と低熱伝導率を有するβ-FeSi_2およびCoSb_3を熱処理することなく、ホットプレスのみで作製することに成功した。
2)CuおよびZrを添加させた場合、β-FeSi_2中に金属相粒子がびさあいに分散し、電気抵抗をが著しく低下し、その結果、性能が飛躍的に向上した。
3)FeSi_2にSi及び」Cを添加して、メカニカルアロイング(MA)することによって、β-FeSi_2相中にSic超微粒子を均一・微細に分散させることに成功した。その結果、熱起電力および電気抵抗には殆ど影響することなく熱伝導率を著しく低下させることによって、性能を大幅に向上させることができた。その効果は、Mnを添加したP型β-FeSi_2の場合に顕著であった。
4)Co及びMnをドープしたN型およびP型β-FeSi_2へのZrおよびSic複合添加によって性能は向上するが、無添加β-FeSi_2への複合添加の効果やそれぞれの単独添加の効果から期待される効果は得られなかった。これは複合添加によってキャリアー濃度の変動によると考えられる。
|
