研究概要 |
本研究は、最近発見された非常に強力な磁気特性を示すSm_2Fe_<17>N_X材料の高品位化・高性能化と高反応化・低温化合成を目指して、従来にない新規で極めて活性が期待される常圧プラズマ処理装置を初めて試作して試みた研究である。その結果、新材料合成に非常に有効である常圧プラズマ窒化装置の開発・試作に世界で初めて成功したばかりでなく、この処理法によって高品位・高性能なSm_2Fe_<17>N_X材料を従来法よりも著しく低温で(約100℃低温)合成することに成功した。 初年度(平成6年度)は新規で強力な常圧プラズマ窒化装置の設計・開発試作を試み,これに世界で初めて成功した。この処理装置はDCプラズマとRFプラズマをハイブリッドプラズマを利用し,常圧に近い高圧力で窒化処理できるために,材料中の構成元素の蒸発による組成や組織の制御と低温合成化の可能性を秘めた特徴を有している。また,従来のNH_3窒化によるSm_2Fe_<17>N_Xの合成とキャラクタリゼーションを行い,合成温度の影響を検討し窒化中のα-Feの析出挙動を明らかにした。 本年度(平成7年度)は、前年度試作した常圧ハイブリッドプラズマ窒化装置を用いて、Sm_2Fe_<17>N_X化合物の合成とキャラクタリゼーションを行った。その結果,DCプラズマやRFプラズマ単独窒化や従来のNH_3ガス窒化(約500℃)と比較すると,100〜500Torrの高圧ハイブリッド窒化法によれば,格段に低温(400℃)で合成が可能であり,且つ従来避けられなかったα-Feの析出を防げ高純度・高品位で高性能なSm_2Fe_<17>N_Xの合成に成功した。 本研究で初めて開発試作した常圧ハイブリッドプラズマ窒化処理装置は本化合物のみならず,他の機能性窒化物の合成や各種材料の表面改質による高機能・新機能化に応用・展開が期待され,極めて先導的材料開発に威力を発揮することが予想される。今後各種高機能性材料へと展開する。
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