研究概要 |
1、装置組み立て。オゾン処理装置はボンベ、液体窒素トラップ、オゾン発生器、処理(真空)チェンバーを連結して組み立てた(百瀬)。チェンバー内には微小試料(蓼沼)をおき、オゾン濃度300ppm程度の酸素ガスを数時間から数十時間流して処理した(百瀬)。熱的ガス放出率を測定するためのチェンバー系をポンプ等を連結して組み立て、データ採取系も完成した(百瀬)。 2、試料。真空用材料を考慮しアルミニウム合金(A1050,A2219)を主体にステンレス鋼,銅を作成した(蓼沼)。 3、表面分析(蓼沼、百瀬)。次のことが分かった。(1)オージェ分光分析(AES)により、銅、アルミニウムでは最表面、酸化層内部において炭素ピークは検出されないが、ステンレス鋼では検出される。一方、(2)光電子分光分析(XPS)では感度の違いによるものと思われるが三試料とも炭素ピークが検出される。さらに炭素量を減らす条件を調べる必要がある。さらにXPSは酸素と構成原子との比の違い、水酸化物の割合が得られた。(3)両分析から、表面は自然酸化膜を越えて、酸化が進んでおり24時間処理で3倍、ステンレス、6倍、銅、8倍、アルミ、となることが分かった。(4)AESでは炭素原子の再吸着が大気中での長期保存(35日、Al、100日、Cu)によっても検出されないことが示された。 4、熱的ガス放出率。フランジを試料として無処理、オゾン処理のものを比較した(百瀬)ところ、後者が5倍程度よいことがわかった。 5、今後の展開。処理条件の改善をする。炭素の再吸着性が低いことの機構分析を進める。表面の化学的構造をつめる。動的ガス放出率の測定を共同研究などで追求する。アルミ箔の表面油脂除去にも本処理を試みる。
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