本研究では、窒素酸化物の生成メカニズムを詳細に解析する目的で分散型赤外分光分析法(FTIR)を応用した微量成分の迅速法を開発している。 本年度の研究項目および成果概要は以下の通りである。 1)試料ガスセルおよび水蒸気交換パイプ内のガス流れの検討 目標応答時間(90%応答で2s)を達成するための、試料ガスセルおよびパイプ形状の影響、試料ガスからの脱水蒸気率などを詳細に検討し、具体的な構成を明らかにした。 2)ガスセル、パイプの設計 上記検討に基づき、各形状の設計を行うと共に、試料ガス流量および必要乾燥空気供給量などを決定した。 3)ガスセルおよびパイプの作製を行った。 4)測定ガス種に対応する測定ピークの決定 上記ガスセル、パイプを既設のFTIR装置に設置し、市販混合ガスおよびこれと水蒸気飽和空気との混合ガスなどを使用して、赤外線吸光度スペクトルを定常状態にて測定した。この結果を基に、それぞれのガス種に対する最適な定量波数範囲を確定した。また、個々のガス種の濃度変化をシミュレートした予備実験を行い、上記の設計の妥当性を検討した。 5)濃度定量のためのソフトウエアー開発 求められた濃度測定波数範囲に基づき、スペクトルデータの高速演算および結果の高速保存処理を可能とするアルゴリズムの構築とソフトウエアーの作製を行った。これに付随して、FTIRの移動鏡のしゅう動速度の高速化と精密制御のためのソフトウエアー開発も行った。
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