研究課題
表面被覆型複合サブミクロン微粒子の大量生成プロセスの開発のため、A1Nの気相化学反応法を例にとり、各種生成条件を検討した。前年度の流動層法での短所であった生成物の分散板への析出は、凝集粒子内への原料ガス供給を妨げるのみならず、分散板の閉塞により流動層の連続操作が致命的になる恐れがある。そこで、今年度は、分散板の不要な連続気固接触装置として、向流式の移動層を設計・製作した。高温の反応管内で上昇気流中を粒子が重力流下するため、微粒子を転動造粒することは昨年同様不可欠だが、滞留時間の増大のために、オリフィス径を小さくし排出流量を減少させる必要がある。これは、造粒径には自ずと上限があることになる。従って、反応時間を更に長くするには、排出物を再循環する必要がある。現在までのところ、一回通過だけで析出濃度は低いが、加熱反応領域をできるだけ大きくとり、ガスの圧損を小さくし、円環状反応管出口での析出がなく、連続操作は十分可能になった。その結果、供給ガス濃度を上げ、高温で、長時間かけ、小造粒径程、造粒物内部にも一様に高配合率でSi_3N_4の一次微粒子をA1Nで被覆できることが実験と機器分析でわかった。これを、一次反応式を仮定した未反応核モデルにより、物質収支をもとに反応管軸方向での造粒物の見掛けの被覆率変化をシミュレートした。さらに、未反応核モデルを、より詳細に発展させた多孔質内拡散律速モデルにより、造粒半径方向の析出濃度分布を解析し、実験結果を説明できた。以上、開発した向流式移動層接触装置を用い、気相化学反応法によりサブミクロン微粒子の表面複合化を行ない、均一被覆のための各種操作条件を実験と解析で見出すことが出来た。これらは、今後、各種微粒子系素材の複合化手法として、より一般的に適用できる可能性がある。
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