研究概要 |
昨年度は、本課題で開発したシリカ球形粒子付カンチレバ-を原子間力顕微鏡に用いることにより、シリカ粒子-雲母平板間の相互作用力を直接測定することに成功した。その結果、よく知られたDLVO理論を実験的に確かめただけでなく、水和力など付加的な力も測定することが出来、またその存在を明らかにした本年度は、このカンチレバ-を用いて、以下の結果が得られた。 <水溶液系> 電解質水溶液中において付着力の測定を行った結果、表面間の接触時間が短いとき付着力は添加したカチオンの水和エンタルピーの順に小さくなる傾向が見られた。これは近距離斥力に解析より求められた吸着層の厚さの逆の順と一致する。付着力の表面間の接触時間依存性が水和力の小さなイオン(Cs,K)では殆ど無く、水和力の大きなイオン(Na,Li)では接触時間が大きくなるほど付着力が増大した。この違いは吸着カチオンの界面における水和状態に起因する吸着層の構造破壊により説明された。 <非水系> アルコール水溶液中においても水系と同じように電気二重層の重なりによるとみられる斥力が得られ、溶存イオンが1価の場合でアルコール濃度70%まではほぼDLVO理論が適用できることが明らかになった。また。探針により表面近傍の相互作用力および付着力を測定した結果、アルコール濃度が90%以上の場合に、アルコール分子による吸着層によると見られる付加的な斥力およびしきい値以上の圧力をかけた後の付着力の急激な増大が観察された。これはアルコール分子の吸着層の存在とその破壊により説明される。
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