研究課題/領域番号 |
06555231
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
宝田 恭之 群馬大学, 工学部, 教授 (70154929)
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研究分担者 |
藤原 尚樹 出光興産(株), 石炭研究所, 研究員
花田 光雄 吉澤石灰工業(株), 常任顧問
阿部 秀臣 群馬大学, 工学部, 助手 (30008461)
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キーワード | 脱硫 / カルシウム / イオン交換 / 褐炭 / 超微粒子 / 燃焼 / ガス化 |
研究概要 |
高効率な脱硫法を開発するため、褐炭にイオン交換したCaによる脱硫反応を検討している。本年度は還元性ガス雰囲気中でのイオン交換Caの脱硫特性を検討するため、H_2Sガスとの反応試験を行った。固定層流通式反応器にCaをイオン交換した褐炭あるいは石灰石を充填して1500ppmのH_2Sを供給し、出口ガス中の含硫黄ガスを分析したところ、石灰石に比べてCa担持褐炭の脱硫性能が極めて良好であることが認められた。すなわち、石灰石の場合は反応開始時より100ppm程度のH_2Sが流出するのに対し、Ca担持褐炭の場合はH_2Sの流出は全く認められなかった。昨年度,SO2ガスを用いた実験により、Ca担持褐炭が脱硫剤として極めて適していることを報告したが、本検討により還元性雰囲気下でもCa担持褐炭は脱硫反応に対して極めて高活性であることが見いだされた。つまり、Caイオン交換褐炭は燃焼器内の酸化性ゾーンでも還元性ゾーンでも脱硫が可能であり、また、石炭ガス化炉内での脱硫剤としても利用可能であることが示された。更に、より実用的見地から、回分式流動層反応器を用いて高硫黄炭との混合燃焼を行ったところ、Ca担持褐炭の場合は、Ca/S=1で約80%の脱硫率が得られ、流動層反応器内でもCa担持褐炭の有効性が顕著に認められた。 また、炭素-Ca化合物-含硫黄化合物間の相互作用を明らかにするため、石炭チャーとSO_2ガスとの反応を検討したところ、SO_2ガス化速度および炭素表面へのSO_2の化学吸着量に対して石炭中の鉱物質が強く影響することを見出した。特に、アルカリ金属の影響が著しく大きかった。 今後、本脱硫法を実用化するには、流動層反応器内での脱硫特性を更に詳細に検討する必要がある。
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