研究課題/領域番号 |
06555232
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小宮山 宏 東京大学, 工学部, 教授 (80011188)
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研究分担者 |
松本 功 日本酸素(株), つくば研究所, 真空半導体研究室長
小池 淳義 (株)日立製作所, 半導体事業部, 主任技師
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キーワード | CVD / ナノ構造 / 高誘電体薄膜 / 有機金属錯体 |
研究概要 |
本年度は、ペロブスカイト型高誘電体を作成するためのCVD反応装置を作成した。特に本反応系ではアルカリ土類金属(Ba、Sr)を含む有機金属錯体の制御性のよい気化・輸送が重要であるとの認識から、供給量をin situに測定可能な新規な原料供給装置を設計・作成し、その性能を検証した。供給量と成膜量を測定し、物質収支を検討しつつ供給系の性能を検証していき、その有効性を確認した。また、この供給装置において、Pb系原料の供給状態を検討する内、反応器の材質として広く用いられている石英ガラスがPb酸化物と反応して鉛ガラスを生じることを、偶然に見いだした。これはPb酸化物の反応性が比較的高く、気固反応が生じることによると推察される。反応器の内壁の表面状態が、この様に変化しやすく、さらには物質収支にまで影響を与えることは、通常見逃されている事実である。石英ガラスは多くの研究者によって反応器素材、窓材、基板材として用いられていることを考えると、鉛ガラスの発生は本装置に限らず、一般的に起こっていると考えられるが、これを明示的に確認した報告はなく、重要な知見を得たと考えている。 本研究においては、反応器をアルミナ製のものに替えることによって、この問題を解決し、成膜実験を開始した。特にPb系では、アルミナ製の反応器と石英系の反応器では成膜状況が大きく異なっていた。Pb酸化物の蒸気圧が高い事により、Ti酸化物と化学量論的に反応する部分のみが堆積し、原料供給濃度がPb過剰にあるとき、自発的に量論組成が達成される現象が、速度論的な解析から明らかに示された。
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