研究課題/領域番号 |
06555233
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 基之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10011040)
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研究分担者 |
泉 順 三菱重工業(株), 長崎研究所, 主任研究員
酒井 康行 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (00235128)
迫田 章義 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30170658)
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キーワード | 圧力スイング吸着 / PSA / 二酸化炭素 / ゼオライト |
研究概要 |
圧力スイング吸着法(PSA)は、約30年前に効率的なガス分離技術として開発され、今日では様々な用途に広く実用化されている。PSAの応用分野を一層拡大するための小規模、大容量、省エネルギー化には、既に画期的な技術のブレークスルーが必要となっており、新吸着剤の開発から全く新規の操作法の開発に至るあらゆる段階の研究が行われている。このような現況において、本研究は吸脱着サイクルの超高速化に注目し、吸脱着サイクルタイムがこれまでのPSAに比べて極端に短いsec〜msecオーダー程度であるピストン駆動型超高速PSAの開発を進めている。昨年度までに、空気からの酸素濃縮をモデルケースとして取り上げて、試作実験装置と簡便な数理モデル計算によってその基礎特性を明らかにしている。しかしながら、低圧損型吸着剤の開発と疎水性吸着剤の開発も必須であることも指摘した。これを踏まえて今年度は主に次の2点の研究を行い、いずれも十分な成果が得られた。まず、現在最も社会的ニーズの高い燃焼排ガスからの二酸化炭素の除去に応用しようとする場合、排ガス中に含まれる水分の影響を受けにくい仕組みを組み込むことが必要となる。この為の最も現実的な方法は、疎水性のゼオライトを開発し使用することである。そこで、この目的の為の新しいゼオライトを試作し、PSAによる二酸化炭素分離特性を実験的に調べると共の、クロマト法モーメント解析によって水蒸気共存下での二酸化炭素吸着特性を解明した。一方、低圧損型吸着剤としてハニカム状ゼオライトを提案しこれを試作した。実験及び計算機シミュレーションによる検討から、脱着ガスの十分なパ-ジのために吸着層の出口にはある程度の流動抵抗を残すことが必要であることが明かとなり、現在その付加圧力損失の最適化を行っている。これら2つの成果を一体化することにより、最終年度においてはピストン駆動型超高速PSAによる二酸化炭素の分離が実現できるものと考えている。
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