研究概要 |
プラズマグラフト重合法により,ポリエチレン多孔質膜,テフロン多孔質膜,ポリ[1-(メチルシリル)-1-プロピン]均質膜にアクリル酸をグラフト重合してイオン交換膜を作製し,これにCO_2のキャリヤ-として各種モノプロトン化アミンを静電相互作用により含浸保持した膜によるCO_2の促進輸送実験を行った.原料ガス中のCO_2分圧が0.047atmのとき,N_2に対するCO_2の選択性は4,700,CO_2透過速度は1×10^<-4>cm^3/(cm^2・s・cmHg)という高い値が得られた.この高透過選択性は,既往の高分子膜よりも優れており,また各種イオン交換膜にエチレンジアミンを含浸させた促進輸送膜による文献値よりも優れていた.この原因として,本研究で開発した膜の含水率,イオン交換容量が高いことが考えられた.開発した膜は,原料ガス,スイ-プガスを水蒸気で飽和させて透過セルに導けば長期間安定であった. 多孔質ポリエチレン中空支膜にアクリル酸をプラズマグラフト重合し,これにエチレンジアミンを含浸した膜も,CO_2の高透過性,選択性を示した.中空支膜は膜比表面積が大きいので,実用的な膜形態として重要である. 同様な手法で第3アミノ基を有する2-(N,N-ジメチル)アミノエチルメタクリレートをグラフト重合し,アミノ基を有する膜を作製した.膜が乾燥しているときはアミノ基はCO_2の固定キャリヤ-膜として機能し,含水膜ではアミノ基は固定反応サイトとして機能し,いずれの場合もCO_2分圧の低下とともに透過係数が増加するという促進輸送膜の挙動を示した.また,アクリルアミドグラフト重合膜も,CO_2の固定キャリヤ-膜の挙動を示した.
|