研究概要 |
希薄水溶液から有機化合物のパ-ベ-パレーションによる分離濃縮を水処理について重要な環境問題の解決のために研究されてきているした。特に、化学廃液中からの塩素化炭化水素やフェノールの高度な除去が重要である。したがって、本研究においてこれらの化学物質の分離除去を行える高機能の高分子膜の分子設計を試み、得られた高分子膜を用いて研究した。 共モノマーとして、有機炭化水素に親和性があり選択性を有するn-ブチルアクリレート(n-BA)と側鎖にトリメチルシリル基を有し、透過物質にたいし高い拡散性を有するトリメチルシリルメチルメタクリレート(TMSMMA)を用いた。これらの共重合体膜であるcopoly(TMSMMA-n-BA)膜をとうして水溶液から塩素化炭化水素の分離を行った。n-BAの含有量の増加とともに透過流速は増加し、1,1,2-トリクロロエタン(TCE)の水溶液からの分離において、n-BAの含有率70%の膜で、最高600の分離係数を得た。水溶液からのフェノールの分離もまた研究したが、分離挙動は明瞭でなかった。ここでは、高分子膜として既製のポリエーテルブロックアミドを用い分離係数に対する温度の影響を研究した。分離係数は温度の増加と共に増加した。これらの結果から、高い透過性を有する3-メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(SiMA)とフェノールの選択性が期待される共モノマーとしてスチレン、TMSMMAを用いた。copoly(SiMA-TMSMMA)、copoly(SiMA-Styrene)膜を作成し、poly(SiMA)膜をとうして、分離係数20を得た。TMSMMAあるいはスチレン含有率と透過流速の間に最大点があった。 これらの結果をモノマーの化学構造、膨潤度、ガラス転移温度から考察した。
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