研究課題/領域番号 |
06555243
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
触媒・化学プロセス
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
丹羽 幹 鳥取大学, 工学部, 教授 (10023334)
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研究分担者 |
若平 芳郎 大倉理研, 技術部, 部員
片田 直伸 鳥取大学, 工学部, 助手 (00243379)
金 鐘鎬 鳥取大学, 工学部, 助教授 (60240751)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 酸型ゼオライト / 酸性質 / 昇温脱離法 / 酸強度 / 酸量 / カーブフィッティング |
研究概要 |
アンモニア昇温脱離法は迅速・簡便な固体酸性質の測定法であるが、その解釈は複雑で、しばしば誤った解析が報告されてきた。本研究では各種酸型ゼオライト上でさまざまな条件で昇温脱離実験を行い、昇温脱離が吸着種と気相アンモニアの間の平衡に支配されていることを見いだし、エントロピー変化項を決定した。決定されたエントロピー変化は相転移に関する定数項と気体の混合に関する項からなり、定数項はゼオライトの種類によらず一定で、熱力学のTroutonの法則と一致し、解析の妥当性を支持していた。したがって、昇温速度式の中で未知の項はゼオライトの酸性質を示す酸量・吸着熱の項のみとなり、1回の実験値から酸性質を決定することが可能となった。 さらにこれを発展させ、パソコンを用いたカーブフィッティング法によって脱離曲線を解析する手法を開発した。この方法により、酸強度の平均値だけでなく分布を決定できるようになった。また、酸点から脱離したアンモニアのピークを物理吸着種と視覚的に分割し、β、Y型ゼオライトなどの弱い酸強度を定量することが可能となった。求められた酸型ゼオライトの酸強度は、狭い分布を持ち、結晶構造によって決まり、モルデナイト>ZSM5>β>Y型の順であった。また、酸量を脱アルミニウムやカチオン交換によって変化させても酸強度は変化しなかった。この結論はきわめて単純であり、本解析法が妥当であることを示し、同時にゼオライトにおける酸発現機構を示唆している。 さらに実験条件についても検討し、安定した測定値が得られる条件・方法を確立した。 以上のように、アンモニア昇温脱離法によって酸型ゼオライトの酸性質(酸量・酸強度・その分布)を正確かつ迅速に求める実験および解析方法を確立した。
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