研究概要 |
(1)各種タンパク質因子の遺伝子クローニング及び組み換えタンパク質の解析 好熱菌Bacillus stearothermophilus由来の、GroES,GroEL,PPlase、超好熱菌ゆらい、熱ショックタンパク質などの遺伝子について、クローニングと塩基配列決定を終了した。大腸菌を宿主とした大量発現を行った結果、フォールディングに関わるタンパク質は大腸菌にとって異種タンパク質であるにも拘わらず、細胞内で安定に、そして大量に発現しており抗体タンパク質の場合のようにインクルージョンボディー(不溶性顆粒)を形成することは無かった。このことは、これら、フォールディングに関わるタンパク質は自らの巻き戻しにおいてもポジティブな役割を演じているのではないかと考えられた。 (2)抗体タンパク質とシャペロンタンパク質の同時発現 抗体タンパク質とGroESLタンパク質の細胞内同時発現を行った。その結果、不溶性顆粒の出現を抑えることができ、単独発現の場合とは明らかに異なる画分から回収できた。シャペロンなどのタンパク質によりin vivo巻き戻しを促進することは、可能であると考えられた。 (3)超好熱菌熱ショックタンパク質と異種タンパク質の同時発現 我々が独自に分離した超好熱菌Pyrococcus KODl株由来の熱ショックタンパク質の遺伝子クローニングによりアミノ酸配列が明らかとなり、相同性検索により、真核生物型であることが示された。同タンパク質は、非常に高い熱安定性を示し、単独で効果を示すことが解った。そこで、抗体等の異種タンパク質との同時発現を試みた。その結果、一本鎖抗原結合タンパク質(sFv)の場合、可溶性画分から取得できる目的タンパク質の顕著な増加が認められた。
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