研究概要 |
本研究では、酵素法によりグルコースからフルクトース1,6-二リン酸(FDP)を効率よく合成する方法の確立を目的とした。成果の概要は、以下の通りである。 1.酵素反応の機構と動力学:Bacillus stearothermophilus由来のグルコキナーゼ(GK)、ホスホグルコースイソメラーゼ(PGI)、ホスホフルクトキナーゼ(PFK)およびアセテートキナーゼ(AK)を触媒とする反応の速度を種々の条件下で測定し、それらの結果を解析することにより反応機構と動力学を明らかにした。 2.FDPの合成実験:拡散型のホローファイバーリアクターを用いて、酵素GK、PGIおよびPFKを触媒とする3段階の合成反応と酵素AKを触媒とするATPの再生反応を同時に行わせた。リアクターのシェル側に酵素GK、PGI、PFKおよびAKを包括固定化しておき、リアクターのチューブ側にグルコースと微量のATPを含む液を原料液として連続的に供給した。基質、補酵素ならびに酵素の濃度と液供給速度の種々異なる条件下で測定されたFDPの収率とATPのリサイクル数の実験結果は、いずれも理論線と良好に一致した。合成条件を最適化することにより、拡散型のホローファイバーリアクターを用いて、極めて微量の補酵素をリサイクルさせながら高い収率で目的の生理活性物質FDPを効率よく合成できることから、本プロセスは実用化可能であることが明らかになった。 3.FDPの精製・結晶化法の確立:反応で得られたFDPを精製し、純度の高いFDPの結晶を得る条件を確立した。
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