研究概要 |
本研究は,半導体製造工業用を主用途とする高純度水の品質管理において,最も問題となっいてるケイ酸およびシリカの計測技術を構築するために行われたものである.高機能流れ濃縮-吸光検出システムの開発にあたり,2つの着想があった. 1.ケイ素をモリブドケイ酸青に変換して検出するが,この化合物は近赤外領域830nmに吸収を持つので,光半導体測光系に基づいた非常に安価な検出機を作成,利用できる. 2.モリブドケイ酸青は陰イオンであるのでイオン交換吸着-イオン対溶離法を適用して高機能前段濃縮システムを組むことができる. 平成6年度:モリブドケイ酸青の生成条件と濃縮システムの最適化の検討を中心に研究を進め,第一号試作機の組立を行った.この時点で使用していた送液ポンプの脈流や流量安定性の低さがモリブドケイ酸青のシグナル検出に重大な障害を与えることを知り,新たなポンプシステムを導入して問題の解決を図った. 平成7年度:改良型装置の組み上げとその最適化を行った.試料溶液30mlからモリブドケイ酸青をオクチルトリメチルアンモニウムイオンとのイオン対としてアッシュレスパルプ充填カラム上に捕集し,80%アセトニトリル-水混合溶媒にて溶離することによって,0.5ppbのケイ酸を計測できた.検出器の応答特性も良好である.半導体製造工場や発電所等で試作機の実地運転を実施中である.本機は当初の予定通り総額150万円程度で作製が可能であることも明かとなった. 現時点において未解決の点は,モリブドケイ酸青の溶出シグナルが溶媒組成変化に伴うベースライン変動の影響を受けやすいことである.これに関しては,分離ミニカラムを捕集カラムと検出器の間に挟み,モリブドケイ酸青の溶出を遅らせて溶媒ピークと分離することを検出し,好感触を得ている.
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