研究課題/領域番号 |
06555256
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高木 誠 九州大学, 工学部, 教授 (90037739)
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研究分担者 |
中村 成夫 九州大学, 工学部, 助手 (00264078)
塚越 一彦 九州大学, 工学部, 助教授 (60227361)
前田 瑞夫 九州大学, 工学部, 助教授 (10165657)
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キーワード | 鋳型重合 / ラテックス / イオン交換樹脂 / 分子認識 / 金属イオン |
研究概要 |
新しい鋳型重合の概念「鋳型ラテックス重合」は、油水界面という特殊な分子認識の場をイオン交換樹脂の製造過程に導入する試みである。本年度は、配位構造が異なる代表的金属イオン(Cu(II)、Zn(II)など)について、実用性を念頭におきながら鋳型樹脂の合成方法を検討し、系統的評価を行った。 機能性モノマーとして、現在、広く利用されている金属抽出剤、ジオレイルリン酸エステルを選び、副界面活性剤として非イオン性のグルタミン酸ジオレイルリビトールを使用した。Cu(II)、Zn(II)を鋳型金属イオンとして過剰のビニルベンゼン共存下、O/Wエマルションを形成させた。次にこの溶液をラジカル開始剤によって熱重合し、鋳型ラッテクスを得た。 RT-IR、NMR、FE-SEM(オングストロームSEM)、粒度分布測定装置、超遠心分離装置、表面積/細孔径分布測定装置、自動電位差滴定装置、電気泳動光散乱光度計、高速液体クロマトグラフ等を使用し、得られた鋳型ラテックスのキャラクタリゼーションを行った。吸着平衡テストからは、Cu(II)鋳型ラッテクスを非鋳型ラッテクスよりおよそ100倍効率的にCu(II)を吸着することが判った。 同様に、W/Oエマルションを利用して鋳型ラッテクスを合成した。ここでは水相に対して2倍体積の有機相を使用した。得られたZn(II)鋳型ラッテクスは非鋳型ラッテクスより少なくても100倍以上効率的にZn(II)を吸着した。 すでに、我々は、オレイン酸およびオレイン酸誘導体を機能性モノマーとして、表面にカルボキシル基または他の官能基を有する鋳型ラッテクス樹脂を合成している。これら鋳型ラッテクスの鋳型発現メカニズムについても、上記現有設備を用いて詳しく検討した。 また、申請備品であったキャピラリー電気泳動装置を用いて、鋳型樹脂を包含するキャピラリーの開発、すなわち鋳型ラッテクスとキャピラリー電気泳動法を組み合せた新しい方法論を検討中である。
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