研究課題/領域番号 |
06555270
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
辰巳砂 昌弘 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (50137238)
|
研究分担者 |
近藤 繁雄 松下電池工業(株), 技術研究所, 室長
高橋 雅也 大阪市立工業研究所, 無機化学課, 研究員
|
キーワード | オキシスルフィドガラス / 超急冷法 / リチウムイオン伝導 / 固体電解質 / 全固体リチウム二次電池 / ガラス構造 / 混合アニオン効果 / 固体高分解能NMR |
研究概要 |
本研究は、Li_2S-SiS_2系をベースとする様々な混合アニオンガラスを合成し、このようなガラスの構造解析を行うことにより「混合アニオン効果」の本質的理解を深めながら、全固体二次電池への応用を図ることを目的とするものである。本年度得られた成果は以下の通りである。 (1)Li_2S-SiS_2-Li_xMO_y(Li_xMO_y=Li_3PO_4、Li_4SiO_4、Li_4GeO_4、Li_2SO_4、Li_2WO_4)系ガラスを双ローラー超急冷法を用いて作製した。オルトリン酸リチウムを添加した場合のガラス生成域が最も広く、40モル%添加した組成までガラスが得られた。 (2)5モル%オルトリン酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、オルトゲルマン酸リチウムを添加したガラスではいずれも、ガラスの結晶化に対する熱的安定性の尺度であるTc-Tgの値に極大が見られた。 (3)5モル%オルトリン酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、オルトゲルマン酸リチウムを添加したガラスではいずれも、室温でおよそ10^<-3>Scm^<-1>という非常に高い伝導度を示した。 (4)^<29>Si MAS-NMRスペクトルより、オルトリン酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、オルトゲルマン酸リチウムを添加したガラス中には、結晶では見られない硫黄と酸素の両方の結合したケイ素、および、酸素のみの結合したケイ素の存在することがわかった。 (5)ガラス形成カチオンを含むオルトオキソ酸リチウムを添加した場合のベースガラスと硫黄と酸素の交換は、オルトゲルマン酸リチウムを添加した場合が最も起こりやすく、次いでオルトケイ酸リチウムを添加した場合であり、オルトリン酸リチウムを添加した場合が最も起こりにくかった。この結果は、HSAB理論によって説明することができた。
|