研究課題/領域番号 |
06555272
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高谷 秀正 京都大学, 工学部, 教授 (40022644)
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研究分担者 |
富田 哲郎 三菱瓦斯化学株式会社, 東京研究所, 主席研究員
佐用 昇 高砂香料株式会社, ファインケミカル研究所, 第一主幹
雲林 秀徳 高砂香料株式会社, ファインケミカル研究所, 所長
野崎 京子 京都大学, 工学部, 助手 (60222197)
太田 哲男 京都大学, 工学部, 助手 (50213731)
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キーワード | ヒドロホルミル化 / 不斉ヒドロホルミル化 / ホスフィンホスファイト / BINAPHOS / ロジウム / 含硫黄オレフィン / β-ラクタム |
研究概要 |
オレフィンのヒドロホルミル化反応はオレフィン結合の両端に水素とホルミル基を導入する手法として工業的にも重要なプロセスになっている。このうち、不斉ヒドロホルミル化では高い不斉収率、高い触媒活性に加えて高い位置選択性で分岐アルデヒドが得られることが必須であり、これらをすべて満たす触媒こそが真に実用的な不斉ヒドロホルミル化触媒である。そこで、本申請者らは工業的にも用いることができる新しい高機能不斉ヒドロホルミル化触媒を開発することを目的として研究を行った。本研究者らは既に、新型ホルフィンホスファイト配位子BINAPHOSの開発に成功し、いくつかの基質に関しては既に工業的に要求される不斉収率及び位置選択性を達成している。本研究期間中にはまず、新型のホスフィンホスファイト配位子(BINAPHOS)のロジウム錯体についてホスフィン、ホスファイト両部分の構造の最適化を図った。その結果基質によってはホスファイトの3,3'-位にメチル基を導入すると高いエナンチオ選択性が得られることがわかった。また、基質の適用範囲の拡大を図り、特に含硫黄オレフィンやジェン類に関しても本触媒系が有効であることを明らかにした。さらに、β-ラクタム系抗生物質の合成中間体の合成に本触媒系を用いる不斉ヒドロホルミル化反応を適用した。本研究によってβ-ラクタム系抗生物質合成への新しいルートが確立された。以上の研究においては本年度購入した分子反応支援モデル計算により触媒と基質の最適マッチングを予測し、配位子の構造の最適化を計るという手法が有効にはたらいた。 なお、本年度の研究計画の一つであった配位子及びそのロジウム錯体の単結晶X線構造解析とそれに基づく触媒分子の立体構造の確実な理解に関しては単結晶の合成が難航しており、次年度の課題となった。
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