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効率の良い酸素富化膜(高分子膜)の開発は、エネルギー問題とも関連し、緊急課題である。シリコン系ポリマーの高い酸素透過性は良く知られており、ビニルシランポリマーもその内の一つである。しかしながら、入手可能なビニルシランモノマーの種類が限られているため、効率的な研究開発ができないのが現状である。特に、種々の官能基を有しているビニルシランポリマーは酸素透過性の向上が期待できる。本研究は当グループで創出した新触媒反応を用いて、酸素富化膜製造用のビニルシランモノマーを極めて効率の良い方法で合成することを目的とする。今年度は、パラジウムを触媒とするアセチレンへの種々の有機ケイ素試薬の付加を中心に検討した。
パラジウム触媒存在下、アセチレンへのヨウ化トリメチルシランの付加反応を検討した。種々の反応条件の検討を行ったが、期待した単純付加生成物を得ることはできなかった。しかし、系中に有機亜鉛試薬を共存させると温和な条件下カップリング反応が進行し、ビニルシラン誘導体が高収率で生成することを見い出した。適用可能な有機亜鉛試薬はアルキル亜鉛のみであるが、アセチレンに官能基があっても反応することがわかった。今後は、官能基を有する有機亜鉛試薬への適用が課題である。
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