研究概要 |
1)種々の長鎖アルキル鎖を有する高分子LB膜の作成と分子設計(宮下、青木) 優れた凝縮単分子膜が得られるポリドデシルアクリルアミド(pDDA)を基本構造に種々の長鎖アルキル基及び潤滑特性に優れると思われるフッ化アルキル基を導入した両親媒性高分子化合物を合成した。それらの両親媒性高分子の水面上単分子膜挙動を表面圧-面積曲線などによりまた基板上への累積挙動を詳細に検討した。その結果として種々の両親媒性高分子の累積圧や累積速度などの諸条件を明らかにした。また、オクラデシルアクリルアミドモノマーラングミュアーブロジェット(LB)膜の配向性について偏光FT-IR法による解析により垂直方向に対する分子配向だけでなく累積方向に対しても分子配向しているという新規な知見を得た。(Lamgnuir,10,1994,3387-3389.)(蛍光分光光度計の購入) 2)高分子LB膜の基本的潤滑特性の評価、分子論的考察(岩柳) 高分子LB膜の基本的潤滑特性の評価を行うためpDDAをガラス基板上に異なる層数累積し、往復動摩擦試験を行った。得られた動摩擦係数はpDDAの累積によって被累積基板であるガラスの0.7から約0.1へ著しく減少し、高分子LB膜の被覆によってガラス基板の潤滑特性が向上したことが示唆された。また、累積層数に対する動摩擦係数の変化は少なく、1,2層とLB膜の特長である超薄膜においてこの潤滑特性が出現している。 次年度においては基本潤滑特性の評価法を駆使してフッ素系炭化水素を中心として合成した種々の両親媒性高分子についての潤滑特性を検討し、分子論的に設計分子、分子配向や秩序性と膜の潤滑特性との関連性について考察を行う予定である。
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