直流グロー放電によるプラズマ重合膜の作製装置をまず作製した。この装置の特徴は、液体・固体・気体のいかなるモノマーにも対応できることと、2種以上のモノマーを傾斜的に導入できる点である。ナフタリンおよびベンゼンとそのフッ素化物をモノマーとして重合を行った。その結果、ナフタリンからはSP3型の炭素もしくはそのフッ素化体がベンゼンからはSP2型炭素の膜が得られた。また、フッ素原子の導入量の増加は表面エネルギーを低下させた。含ケイ素モノマーからは酸化ケイ素と炭素からなる重合膜が生成し、その表面エネルギーはアルキル基がほとんど認められないにもかかわらず非常に小さいものであった。酸化スズをモノマーにすると半導体が期待できる酸化スズ薄膜が得られたが無定形で、絶縁体であった。次に二酸化炭素をモノマーとして重合を行ったところイオウのみからなる薄膜が得られた。イオウの無定形材料は作製が容易ではなく興味が持たれる。
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